上手なコンサルティング会社の選び方
How to Select the Consulting Firm
コンサルティング会社へ何かを依頼しようと思った時、あまりにも多くのコンサルティング会社があるために「どこへ頼めば良いのかわからない…」と迷ってしまったことはないでしょうか?大手のファームへ頼めば良いのかと言うと、安心感がある一方で費用面は確実に数倍に跳ね上がります。一方、小規模のファームへ頼めば良いのかと言うと不安感が拭えず社内稟議を通すのも心配が残るのではないでしょうか。コンサルティング業界の実状を知っていると、お客様に対して「あぁ、その選び方はまずい。」とか、「あぁ、このお客様はコンサルティング会社に高値づかみをさせられてしまっているな。」と感じる場面にかなり遭遇します。例えばよくお客様が惑わされてしまう次のような点について考えてみましょう。
惑わされていませんか?
「支援企業数○千社です!」
コンサルティングのノウハウは、当然ながら会社ではなく人に蓄積します。従って会社全体で何千社コンサルティングをしていようと、皆様の担当をするコンサルタントの経験数とは無関係です。「いやいや、社内に膨大な事例のデータベースがあることが重要だ。」という方もいるかも知れませんが、実際問題それほど便利なデータベースはありませんし、過去の書類がいくらあったところで皆様の現場では大して役に立ちません。研究熱心で、場数を踏んだコンサルタントが担当してくれるか否かの方がよほど重要なのです。
「老舗やブランドのあるファームなら安心!」
コンサルティング会社は「ビジネスのスキルアップ」を目指す修行の場として人気があります。実際、コンサルティング会社に入る方はビジネススキルに貪欲な方が多いのではないでしょうか。しかし、ここにコンサルティング会社としては一つの大きな問題があるのです。それは、このような志向性の就職動機では当然ながら離職率が高くなり、3~4年ほどコンサルティング会社で経験を積むと、次のステージを目指して転職をしてしまうということです。その結果、一見歴史のあるコンサルティング会社でありながら「所属するコンサルタントの経験年数がわずか2、3年しかない」ということが多発してしまうのです。ある企業で通用するノウハウと、あらゆる企業で通用する本質的なコンサルティングノウハウとでは次元が全く異なります。そのノウハウを身につけるには、これではあまりにも短期間過ぎるのです。「短期集中のビジネススキルアップ」ではなく、本当に「コンサルタント道を追求している」コンサルタントに出会えることが重要なのです。
「○○出身、○○資格保有のコンサルタントです!」
個人が知識を保有することと、現場で活かすこととは全く異なります。従ってコンサルタントがどれだけ知識を持っていたとしても、それだけではコンサルティングの成果はまず出ません。ところが、コンサルタントの肩書きに一流企業や海外の一流大学の名前、難しそうな手法や資格が並んでいると、それだけで素晴らしいノウハウを持っているように感じてしまいます。しかし、これは全くの誤解であり恐れることは何もありません。難しいことは分かりにくいだけであり、つまり現場では使いにくいということです。現場にある知識やノウハウを、分かりやすい基軸を通じて最大限に活かすコンサルティングノウハウこそが重要なのです。
上記のように、コンサルティング会社を選ぶ際に惑わされがちな点はたくさんあり、手法も研修ラインナップも多岐に渡るため、どこが自社にとって最適なのかを知るのは大変かもしれません。そこで、皆様が本当に素晴らしいコンサルタントに出会う為に、次の点に応えてくれるコンサルティング会社を探して下さい。
上手なコンサルティング会社の選び方
Point1
コンサルティングテーマを決める前に、無料で相談に乗ってくれること
優れたコンサルタントに共通することとして、安易にコンサルティングテーマを決めないという特徴があります。お客様から相談を持ちかけられた際に、彼らは一旦お客様の話に耳を傾け何が本当の課題なのかを探し始めます。ですからもし皆様の話を聞いた際に、それをそのまま提案書にするようなコンサルタントであれば少し注意が必要です。
それともう一つポイントがあります。
皆様が目指す理想への突破口となるキーポイントは、これまで思っていたこととは別の意外な所にあるかも知れません。ぜひ、まだまだ皆様にとって問題の整理がついておらず、漠然としたままでコンサルタントに相談を持ちかけて下さい。コンサルタントはそのキーポイントを見出すプロフェッショナルですから、きっと問題を明確に整理し皆様に価値のある提案をしてくれます。
そしてコンサルタントに相談を持ちかけた際、
・相談料は有料ではないでしょうか…?
・あなたの話をきちんと聞いてくれるでしょうか…?
最初の提案書を出すことに対してすら、高額の費用を求められる場合があります。しかし、この提案段階では無料のコンサルティング会社が多々あります。それこそ提案段階において、しっかりとしたヒヤリングをしたにも関わらずコンサルティングが不必要であれば、「今回は御社自力でできますね。コンサルティングは必要ありません。」ときっぱり断ってくれるコンサルタントもいます。
また、初回のヒヤリング時に皆様の話を良く聴いてくれるかにも注目しましょう。コツとして、大して話もしていないのに「大体分かりました。」というコンサルタントは要注意です。それは過去の経験と安易に照らし合わせ、的はずれな提案をしてくる可能性が高いからです。優れたコンサルタントはお客様による事情の違いの重要性を心得ていますから、ヒヤリングには特に力を注ぎますし、
そうそう簡単に「分かりました」とは言いません。「このコンサルタントは本当に理解してくれたな。」という直感が得られるかどうかに注目して下さい。そのようなコンサルタントが「営業担当」ではなく、「コンサルティング担当」をしてくれるならかなり有望だと言えます。
Point2
コンサルティング内容を、自社に合わせてカスタマイズしてくれること
得てしてコンサルタントは多忙で、日々激務をこなしています。ですから本音を言うと、少しでも「同じことをしたい」と思っています。なぜなら過去に行ったことや使った資料でコンサルティングができれば、大幅に時間を削減することができるからです。また、決まり切ったパターンをコンサルティングに当てはめることができるなら、経験不足のコンサルタントでもそれなりに形にすることが出来ます。だからこそパターン化された研修やコンサルティングを、コンサルティング会社はお勧めしたがるのです。
しかし、皆様にとっての成果を出すということを考えた場合、この取り組み姿勢では困ってしまいます。企業の文化、日頃から使われる言葉や習慣、そういったものにコンサルティング内容をカスタマイズしなければ、中々現場に浸透せず成果など出ないからです。成果を出す為には現場でのヒヤリングを通じ、時間をかけてコツコツとコンサルティング内容をカスタマイズすることが必要不可欠なのです。そうやって生み出された研修やコンサルティングはまさに御社オリジナルとなり、最も成果の出る取り組みとなります。中々そこまで力を入れてくれる職人気質なコンサルタントは少ないのですが、もし仮にそのような方とタッグを組むことができれば、全く別次元の満足度を皆様に提供してくれます。
皆様に提案してくる内容は…
・はやりの手法を全面に押し出した、型通りの研修を提案してきていないでしょうか?
・「他社で成功した」という手法をそのまま提案してきていないでしょうか?
・提案書の工程表内にヒヤリング期間が無く、いきなり研修実施日になっていないでしょうか?
皆様が目指す理想をしっかりと聞いてくれる。そして、それに合わせオーダーメイドのコンサルティングを提案してくれる。これはコンサルタントにとっては大変な手間のかかることです。しかし、本当に成果が浸透し貴社に変化をもたらすのは、そんなコンサルティングや研修なのです。ですからお勧めは単に腰掛けでコンサルティングをしているコンサルタントではなく、コンサルティングそのものを愛し、良い仕事をすることを生き甲斐にしているコンサルタントと組むことです。
Point3
講師として、トレーニングを積んでいるコンサルタントを選ぶこと
意外なことかも知れませんが、コンサルタントが「伝える力」のトレーニングを積んでいるかという点は必ず重視して下さい。というのは、知識や経験は豊富にありながら「相手に教える・伝えるスキは不足している」というコンサルタントがとても多いからです。
コンサルティング会社の立場からしますと、コンサルタントの肩書きが立派であれば十分な知識も経験もあると打ち出すことができます。ですのでお客様の安心は肩書きがあれば、十分に得やすいと言えます。しかし、それでコンサルティングに成果がでるかというと、そう簡単なものではありません。例えばコンサルティングが失敗する理由には、「コンサルタントが現場に嫌われたから」というのがとても多いのです。なぜそうなるかと言うと、コンサルタントが当たり前のように使用する言葉が現場には理解し難かったり、コンサルタントが上から伝える理論が、現場からしてみるとかんに障ってしまったりするのです。また、どんなにいい話をしていても、話し方が下手なのでは聞く方はたまりません。
やはり、「伝える力」が伴わなければコンサルティングは成功しないのです。そしてその伝える力は、自分自身が学習する能力とは全く別物であり、それこそ本格的に磨かなければ身につきません。ですから、本当に成果を出すことを大切にしているコンサルティング会社であれば、この「伝える力」を磨く為の時間を絶対に重視しています。
皆様の前に立つコンサルタントは…
◆難しい専門用語や横文字をそのまま使っていないでしょうか?
◆言葉に魂を込めて、分かりやすく話しているでしょうか?
◆現場に対し、上の立場から意見を言おうとしていないでしょうか?
知識や経験は豊富でありながらも、実は研修講師としての「相手に教える・伝えるスキル」はまだまだ、というコンサルタントも少なくありません。この点は外注先や担当によるバラツキが大きいので、講師としての訓練をしっかりと行っているコンサルティング会社を選ぶことが大切です。
また、よくあるケースとして「社員に理解させる為には、より有名な一流の話を聞かせるべきだ」と考え、高額の報酬を払って有名人を呼ぶことがあります。しかし、この考え方は本当に社員が育つ風土を形成する上で大きな問題があります。なぜなら「よほど有名な人物の意見でなければ、自分たちは受け入れない」という考え方が根底に根付いてしまうからです。ニュートンは落ちるリンゴから万有引力を見出しましたし、アインシュタインは流れる雲への疑問から科学者を目指しました。本当に成長する人物は「何からでも学べますし、学ぼうとする」のです。そういう風土を形成することが、社員を育てる上では最も重要な勘所と言えます。このような視点を持ったとき、余計な肩書きに惑わされずに本当に必要なコンサルタントを選ぶことができるのではないでしょうか。
ぜひ「伝える力」の訓練を積んだ、分かりやすい言葉で話せるコンサルタントを選びましょう。