国内事業 事例② 営業力強化プログラム 業務の背景と全体概要 A社は創業20年を越えた企業であり、既に事業基盤が確立し安定経営を続けていた。その一方で、創業者でもある経営者は自社の営業力に危機感を抱き始めていた。その理由は次のようなものであった。A社が事業モデルの構築に邁進していたころ、創業者をはじめ社内には優れた営業マンが多々おり、活発な営業活動が展開されていた。しかし、顧客層が安定するに従い社員による営業活動が徐々に定型化していってしまった。経営環境が比較的安定している時期は特に問題が生じなかったが、経験環境が大きく変わった際、近年で言えばCOVID-19が発生して以降、隠れていた問題が顕在化した。それは事業環境に合わせて創造的に影響活動を行える営業マンが皆無となっていたことである。現営業チームは長年に渡り安定顧客を対象に、安定した事業基盤の下での営業に慣れすぎており、創造性を失っていたのである。対策として優れた営業マンからそのノウハウを継承しようとしたが、本人の営業力と他人の営業力強化とはまたノウハウが異なり、時間をかけたほど効果が見られなかった。そのため、A社では営業ノウハウを学び直し、創造的な営業部隊を再構築すること、ノウハウが速やかに継承される環境づくりに取り組む必要性があった。 業務内容 営業力強化を進めるにあたり、以下の3つのノウハウを基軸とした営業力強化を行った。 ① セールスに求められる4つ能力 ② 顧客心理の6つの分解視点 ③ セールスプロセスの構築方法 その一方で、営業部全体に対する生産性向上ノウハウについても訓練を重ねた。その理由は、ビジネスの基本が浸透していない組織の場合、通常職員は日常業務に忙殺されており、営業力強化の取り組みといったプラスアルファの活動に取り組むことができないためである。したがって、まずは各職員がゆとりをもって日常業務を回せる状況を実現し、その上で営業力強化への取り組みを進めた。 成果 営業部全体で売上が上昇し、通常は前年対比で一桁台の変動が常であるところ、前年対比20%増を記録した。各セールスの受注確立も平均10%以上の上昇が見られ、受注単価の上昇も確認された。 営業部内の質に関するコメントとして「スランプ」を口にする営業マンがいなくなったとの声を多々いただいた。その理由であるが、かつては営業マンが売れない場合にその理由を分析することができず、結果としてスランプと表現してしまっていた。それに対し現在は3つの視点から営業能力や進捗を分析できるため、営業マンは売れない原因を明確に認識できるようになっている。そのため「スランプ」とは言わなくなったのである。 また営業部内のノウハウの継承、共有が格段にやり易くなった。それは営業マネージャー、セールス共に営業の分析視点が身に付いたため、的確な指導や情報共有が可能となったためである。各営業マンの持つ暗黙知が、共通の分析視点を通じ、スピーディに交流することが可能となったのである。 以上の結果、新商品、新顧客への創造的な営業活動が再び活性化し、A社の事業基盤強化につながった。