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事例③ 国立ビジネスコンサルテーションセンター機能向上支援(モルドバ共和国)

業務の背景と全体概要

モルドバ共和国(以下「モルドバ」)は1991年に旧ソ連の解体を受けて独立した後、2000年頃から緩やかな経済成長を続けてきた。そのような経済成長を下支えする中小企業は、企業数で約99%、雇用者数で約58%、企業収入で約42%を占め、民間セクターの中核的位置付けにある。モルドバの経済は、出稼ぎ労働者からの海外送金による国内消費拡大が経済成長を牽引する一方、主要輸出産品であるアルコール飲料、農作物等の国際競争力が弱く、石油、ガス等のエネルギー資源や機械類の輸入による貿易収支の悪化により、恒常的な貿易赤字の状態が続いていた。そのため、2012年に策定された経済振興計画であるMoldova2020では国内産業の育成と輸出・投資による成長モデル構築を急務とし、さらに同年に策定された「中小企業振興プログラム2012-2020年」では、「中小企業がモルドバの安定的経済成長や競争力創出に貢献することを目指す」と中小企業振興を国家経済発展の中軸とすることが打ち出された。

一方、モルドバには各国のドナーより様々な中小企業支援が提供されているが、次の3つの課題を抱えていた。

  • 首都在住の企業に比べ、地方中小企業には中小企業支援情報が届かない。
  • 地方中小企業にはビジネス教育に触れる機会が乏しく競争から取り残されている。
  • 企業体質が脆弱な中小企業が多く、提供される中小企業支援施策が活用できない。

そこでモルドバ政府は様々な中小企業支援施策をワンストップウィンドウとして紹介し、さらに中小企業に寄り添ったコンサルティングが提供できるスキームとして、国立コンサルテーションセンターを設立することを決定し、日本政府へその設立と機能強化について支援を要請することとなった。

業務内容

  1. 現地中小企業20社への訪問調査
    現状把握のため、国立コンサルテーションセンターのコンサルテーションを受けた企業を訪問し、その実体調査を行った。
  2. 標準コンサルテーションマニュアルの開発
  3. 国立コンサルテーションセンターコンサルタントへのトレーニング
  4. コンサルティング提供スキームの設計
  5. 中小企業支援施策提供スキームの設計
  6. ビジネスセンターネットワークとの連携


図:ひまわりの種を原料としたペレットを製造するスタートアップ

成果

標準コンサルテーションが確立

モルドバ国では新規創業を促すため、「PARE1+1」と呼ばれるスタートアップに対する資金援助へ活発に取り組みを進めていた。そのため、国立コンサルテーションセンターの日益企業も必然的にスタートアップの比率が高くなっていた。そこで国立コンサルテーションセンターの設立時のメインコンテンツを法人設立支援、財務支援施策の斡旋、商品開発、営業構造構築に絞り、これらを標準コンサルテーションとして確立した。本コンテンツは現地コンサルタントから高い評価を得たのみならず、所属する組織の職員全員が組織内教育ツールとして用いるなど、大いに活用された。

 

全国をカバーするコンサルテーションネットワークのビジョンが描かれた

国立コンサルテーションセンターは首都キシナウに位置するが、モルドバ政府の目指す将来ビジョンはモルドバ全土の中小企業へコンサルテーションサービスを行き届かせることにあった。一方、当時のモルドバ国にはそれを実現できるだけのサービスネットワークは無く、そのビジョンの受け皿となる地方組織の育成が求められた。本プロジェクトではEUによる支援の下で開設が続いていたビジネスインキュベーションセンターのネットワークに着目した。当時は各地方における中小企業に対する低価格のオフィスを提供する不動産事業がビジネスインキュベーションセンターのメインビジネスとなっていたが、本インキュベーションセンターをネットワーク化し、さらに機能強化を進めることで、モルドバ国全土の中小企業振興の要となることを打ち出した。本内容はビジネスインキュベーションセンターネットワークの将来ビジョンとして冊子にまとめられ、モルドバ政府内での支援者の獲得、国際支援機関の協力を獲得することに大いに繋がった。現在では当時描かれたビジネスインキュベーションセンターネットワークの将来ビジョンが現実のものとなり、モルドバ国全土をカバーしたコンサルテーションセンターネットワークとして実現している。