SDGsは17の目標、169のターゲットにより構成され、その実現に向け、各国政府や地方自治体や企業が各地域における状況と優先順位を踏まえ、独自のターゲットとアクションを定めることを求めている。このアプローチはいわば「目標ベースのガバナンス」であると指摘される 。従来の国際的な合意による問題解決では、条約などの法的枠組みを形成することを通じて「ルールによるガバナンス」が志向されることが多かった。これに対して、SDGsは世界がどうあるべきかという姿を「誰一人取り残さない(No one left behind)」という言葉で表し、その実現に向けた達成水準のみを示して、手法については各ステークホルダーの努力を信頼している。その意味ではSDGsは、いわば自律協調型の活動を創出する役割を果たしているというのが「目標ベースのガバナンス」の考え方である。こうしたガバナンスを通じて目標を達成するには、SDGsに取り組む各アクターが、そのインパクトを可視化し議論する共通言語や共通フレームワークが必要となる。そのため、民間セクターによるSDGsへの関与が求められる背景を概観した上で、SDGビジネスのインパクト評価に係る主要な議論をまとめることが必要とされた。