国内事業 事例① 包括的なマネージャー教育の導入 業務の背景と全体概要 A社はIT広告代理店として順調に業務を拡大し、事業と共にその組織を拡大してきた。業務効率の向上は急務であり、社内システムへの投資及びマネジメント体制の構築に対しても、これまで投資を心がけてきた。ハード・ソフトの両面において先端技術へ取り組む一方、マネジメント体制のボトルネックとなったのは意外にも中間層における人的能力の限界であった。新入社員に対する初期研修からOJT、キャリアアップに応じて用意される社員向け教育がある一方、A社のビジネスはいつの間にか業務が拡大・多様化しており、本店の目が行き届かない支店の増加、中途採用職員の増加に伴う異文化の流入など、かつてとは社内環境が大きく変化していたことが主な要因である。またこのような環境下では社員のビジネス習慣や思想も異なるものとなり、社内コミュニケーションも日に日に困難となっていることが感じられた。そのような環境下において、各部署の業績や生産性が担当マネージャーの個人的力量に大きく左右される状況が生み出されていたのである。そこで、A社では会社の中核を担うマネージャー陣に対し、改めてA社が求めるマネジメントを明確化した上で包括的なマネジメント教育を行うことを決定した。 業務内容 A社の理念、経営陣の理念を明確化し、全マネージャーへ浸透。 A社の求めるマネジメントスキルとして9つの領域を剪定し、包括的なマネジメント教育を全マネージャーへ実施。 全マネージャーが習得すべきマネジメントノウハウに対してアクションプランを作成し、月次でのPDCAを1年間に渡り実施。 成果 まず最も多くのマネージャーより出た感想が、「実はマネジメントにおいて何をすべきか知らなかった」という意見であった。各マネージャーは自部署の上司を教師または反面教師としてマネジメントを学んでおり、マネジメント手法としてもマネジメント領域としても限定的かつ運に左右される状況にあった。本マネジメント教育では「そもそもマネジメントとは何をすることなのか」から学び、生産性向上ノウハウや実績管理ノウハウなどをはじめ幅広く9つの領域におけるマネジメント方法を習得している。その結果、マネージャー陣が自部署に本当に必要なマネジメントを体系的に捉えることが可能となったためである。また必要とされるマネジメントの引き出しが格段に増えたことにより、事業運営の柔軟性や効果性も大きく高まったという声も数多く上がっている。 本取り組みの特色として「受講して終わり」となる教育研修ではなく、習得すべきマネジメントノウハウに対して全マネージャーが活動計画を策定し、月次でPDCAサイクルを回したことが挙げられる。この活動計画に対しては毎月レビューが実施され、厳しくその進捗と成果創出が議論された。得てしてマネジメント教育へ「お客様」として参加してしまう管理者がいるが、本スタイルを取ることにより決して「お客様」とはなりえず、自身の活動と成果が常に求められる「プレーヤー」として参加することが実現している。こうした教育環境を1年に渡って継続することで、効果的なマネージャー育成を実現している。 そして特筆すべき評価として「社内コミュニケーションが格段に良くなった」という点があげられた。それは「共通のマネジメントノウハウ」を保有するマネージャーが全社に行き渡ったことにより、それに続く社員達まで共通のビジネス習慣、思想、手法が浸透し、円滑な意思疎通が可能となったことが理由である。